日本透析医学会雑誌
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透析アミロイドーシスによる頸部脊髄症, 腰部脊柱管狭窄症例の検討 後縦靱帯・黄色靱帯肥厚例を中心に
久野木 順一佐野 浩志奥津 一郎蓮江 光男真光 雄一郎西山 啓介猪狩 友行
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1994 年 27 巻 5 号 p. 349-354

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抄録
血液透析患者の脊椎合併症に対し手術療法を施行した14例 (頸椎7例, 腰椎7例) のうち, 圧迫性脊髄症または馬尾・神経根症の原因が, 主として脊柱管内靱帯および硬膜外腔のアミロイド沈着によると診断された6例 (頸椎4例, 腰椎2例) について検討した. 年齢は51歳から68歳 (平均58.5歳) で, 透析歴は15年から20年 (平均17.4年) と長期化していた. 頸部脊髄症を呈した4例では, MRIとCTミエログラムにて, 頸椎後縦靱帯肥厚と黄色靱帯肥厚が認められた. いずれも脊柱管拡大術により, 神経症状の改善を得た. 手術所見では, 黄色靱帯肥厚と硬膜外腔のアミロイド沈着を認め, 硬膜管は黄色靱帯と癒着していた. 組織学的には黄色靱帯内にcongo red染色と抗β2-microglobulin陽性の多量のアミロイド沈着が証明された.
腰部脊柱管狭窄を呈した2例でも, アミロイド沈着による黄色靱帯の著明な肥厚により硬膜管が絞扼されており, 椎弓切除と黄色靱帯の切除により軽快した.
長期透析例では, アミロイド沈着による後縦靱帯・黄色靱帯肥厚が頸部脊髄症や腰部脊柱管狭窄症の原因として重要である. 本疾患では単純X線所見は通常正常であり, 破壊性脊椎関節症とは異なった疾患群として注目すべきである.
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© 社団法人 日本透析医学会
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