日本透析医学会雑誌
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血液透析困難症に対する重曹血液濾過の効果
斎木 豊徳小野 淳一福島 達夫橋本 彰佐々木 環北野 裕一〓村 信介平野 宏大澤 源吾
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1995 年 28 巻 11 号 p. 1467-1473

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抄録
従来血液濾過法に用いられている補液アルカリ化剤は酢酸あるいは乳酸を主体としたものであり, 長期透析患者の合併症としての血圧低下症例には適していない. 我々は, いかなる血液浄化法を用いても安定血圧の得られない2症例に対して電解質液を自家調合し既存の重曹液とともに補液として用いた. そしてその安全性, 効果を既存の酢酸, 乳酸によるアルカリ化剤と比較検討した. 結果は2症例とも電解質補液中エンドトキシン, 細菌の検出はなく, 酢酸液に比し経時的収縮期血圧, 拡張期血圧, 脈拍変化は有意差をもって安定していた. さらに乳酸補液は酢酸補液と同様に経時的血圧変動を認め重曹補液と比較し血圧は低い傾向にあった. またTI心筋シンチグラフィーで重曹群は酢酸群, 乳酸群いずれと比較しても心筋中TIの集積増加を示唆する結果を示した. 酢酸, 乳酸補液と比較し重曹のみの補液は, その循環動態に与えうる影響は少なくかつ我々の採った別ルート注入法は自家製で利用できる点で優れていると思われる.
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© 社団法人 日本透析医学会
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