日本透析医学会雑誌
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炭酸カルシウムのリン吸着能に及ぼすヒスタミンH2受容体遮断剤の影響について 維持透析患者における検討
高橋 則尋小路 哲生広畑 衛石津 勉三木 茂裕小野 茂男海部 泰夫湯浅 繁一松尾 裕英
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1995 年 28 巻 7 号 p. 1069-1074

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抄録

炭酸カルシウム服用中の安定期維持透析患者において, 炭酸カルシウムのリン吸着作用に対するヒスタミンH2受容体遮断剤 (H2ブロッカー) の影響を検討した.
炭酸カルシウム服用中にH2ブロッカーを投与された維持透析患者16例を対象とし, H2ブロッカー投与前後で血清カルシウム・リン値およびアルカリフォスファターゼ (ALP), 副甲状腺ホルモン (PTH), 動脈血液ガスを測定した. さらに, 経過観察中にH2ブロッカーを中止し得た7症例については, H2ブロッカー中止後の血清カルシウム・リン値の変動についても検討を行った. また, H2ブロッカーのみ投与され, 炭酸カルシウムを投与されていない維持透析患者を対照群とし, 血清カルシウム・リン値の変動を比較検討した.
試験群では, H2ブロッカー服用後も血清カルシウム値には有意な変動を認めなかったが, 血清リン値は, H2ブロッカー服用前4.8±1.2mg/dlに比し, 服用4週後5.6±1.1mg/dl (p<0.05), 8週後5.9±0.8mg/dl (p<0.005) と有意な上昇を認めた. また, この血清リン値の上昇はH2ブロッカー服用の中止により中止前に比べ有意に改善した (6.6±0.8mg/dlvs 5.7±1.1mg/dl, p<0.05). 一方, 対照群においては, H2ブロッカー服用前後において血清カルシウム・リン値に有意な変動を認めなかった. また, 試験群のALP, PTH, 動脈血ガスにも有意な変動を認めなかった.
以上の成績から炭酸カルシウムのリン吸着作用はH2ブロッカーの併用により有意な影響を受け, 炭酸カルシウム服用中の維持透析患者にH2ブロッカーを投与する際には血清リン値の変動に十分注意する必要があると思われた.

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