日本透析医学会雑誌
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維持透析患者におけるrecombinant human erythropoietin (rHuEPO) 投与と血清トランスフェリンレセプター値の変動
久木田 和丘高後 裕高橋 昌宏目黒 順一米川 元樹笠井 正晴平井 春美加藤 淳二池田 篤新津 洋司郎川村 明夫
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1996 年 29 巻 3 号 p. 191-194

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抄録
血清中の可溶型トランスフェリンレセプター (TfR) 値は骨髄内赤血球造血の程度を非侵襲的に知る新しいマーカーである. 今回, 体内鉄が充分な維持透析患者において, その値を測定し, recombinant human erythropoietin (rHuEPO) 投与下での造血状態を検討した. rHuEPO非投与でヘマトクリット (Ht) 値25%未満の群のTfR値は346±146ng/mlで, 対照群910±100ng/mlおよびrHuEPOを6か月以上投与しHt値が25%以上の群での1,216±386ng/lと比較すると有意に低値であった. 対照群とrHuEPO 6か月以上投与でHt値25%以上の群では有意差を認めなかった. rHuEPO非投与群に適切な量のrHuEPOを投与することによりHt値およびTfR値は上昇し, 検査開始時rHuEPO投与群と有意差のあったHt値は12週で, TfR値は8週で有意差を認めなくなった. 以上より, erythropoietin (EPO) 不足である症例は体内鉄が充分でもTfR値およびHt値が低いが, 適切な量のrHuEPOの投与によりTfR値およびHt値が上昇する. 従って腎性貧血患者においてもTfR値の測定は非侵襲的な骨髄造血の指標として, またrHuEPO投与の目安として有用であると考えられた.
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