1997 年 30 巻 10 号 p. 1233-1238
血液透析 (HD) 患者29名, CAPD患者12名, 健常者 (N) 94名の赤血球膜C3bレセプター (E-CR1) をFlowcytometry法にて測定し, 血中免疫複合体 (CIC) との関連を検討した.
その結果, 1) E-CR1はHD群, CAPD群ともN群に比し有意の減少 (p<0.001) を示し, 両群間では有意差は見られなかった. 2) 両群のCICはN群に比し有意に高値で, 両群間では有意差は見られなかった. 3) HD群ではE-CR1と, C1qCIC (p<0.05), C3dCIC (p<0.02), CAPD群では, E-CR1とC1qCIC間 (p<0.05) にそれぞれに有意の負の相関が見られた.
以上より, HD, CAPD両群のCICは高値を示し, 高値の原因に, E-CR1数の減少に基づくCIC処理能の低下が関与している可能性が示唆された. また, 両群に同様な結果が得られたことより, E-CR1数の減少は尿毒症自体に起因する可能性が示唆された.