日本透析医学会雑誌
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Ethylene oxide gas滅菌穿刺針によりシャント穿刺部の腫脹をきたした維持透析患者の1例
瀬川 賀世子武藤 可信加藤 浩明穴井 博史筬島 明彦田中 弘中島 康秀
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1997 年 30 巻 7 号 p. 995-998

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抄録

症例は61歳男性. 平成元年, 慢性糸球体腎炎からの末期腎不全のため血液透析導入. 透析導入1年後から, 末梢血の好酸球増多が出現. 穿刺部位の皮膚に〓痒感と硬結を認めた. 当初は皮膚消毒に使用したイソジン®やヒビテン®のアレルギーが疑われていた. その後, シャント穿刺部の腫脹あり, 穿刺部を変更しても次第に同様に腫脹するため, 穿刺が困難であった. 好酸球増多に加えて, IgE高値を呈したことから, ethylene oxide (EtO) ガス特異的IgEを測定したところ陽性を示した. 以上からEtOアレルギーと考え, オートクレープ滅菌の穿刺針に変更した. 変更後, 好酸球数は正常化し, 穿刺部の〓痒感・皮膚の腫脹も改善した. 血液回路やダイアライザーは大部分がオートクレープやγ線滅菌となっており, 血液透析患者のEtOアレルギーは減少していると考えられるが, 穿刺針は依然EtOガス滅菌針を使用する機会が多いので, 注意が必要と思われる.

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