1997 年 30 巻 8 号 p. 1077-1081
症例は46歳, 男性. 原疾患は糖尿病で腎不全となり, CAPDへ導入した. 導入後3週目に除水不良となり, 胸部X-pにて右胸水貯留を認めた. 99mTc-MAAシンチグラフィーにより胸腔腹腔間の交通を確認した. 自己血による胸膜癒着術では効果は認めず, 胸腔鏡にて右横隔膜を観察した. 色素を混入した透析液を腹腔内に注入した後, 横隔膜腱状部に数個のブレブ (bleb) が観察された. ブレブ周辺にfibminogenとthmombinからなるボルヒール®を噴霧した. 3週間後からCAPDを再開したが, 再び胸水が貯留してきたため, 血液透析へ移行した.
CAPDの合併症として胸水貯留を認めることがあるが, その原因となった横隔膜腱状部のblebを胸腔鏡下に確認した報告はこれまでになく, 報告した.