日本透析医学会雑誌
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腫大副甲状腺の壊死により自然軽快を示した二次性副甲状腺機能亢進症の1例
森 康充倉田 久嗣松尾 清一渡邊 有三堀田 饒鳥山 高伸川原 弘久
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1997 年 30 巻 8 号 p. 1083-1086

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抄録
数年来, 二次性副甲状腺機能亢進症 (2°HPT) を指摘されていた58歳の血液透析患者が, 突然重度の低カルシウム血症を発症した. 副甲状腺ホルモン (C-PTH) の急激な低下と, 画像診断で腫大副甲状腺の壊死像が確認された. ビタミンDおよびカルシウム製剤の投与により血清カルシウムの上昇は徐々にみられたが, C-PTHの低下はその後も続き, 発症4か月後の画像診断では腫大副甲状腺はほぼ完全に壊死縮小していた. 本症例では, 腫大副甲状腺に梗塞または出血が生じた結果, 壊死に陥ったものと考えられた. 2°HPTが高度に腫大した副甲状腺の-腺に依存している場合にこのような現象がおこりうると推測される. 透析患者が突然重度の低カルシウム血症をきたした場合, 副甲状腺の自壊も考慮する必要がある.
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© 社団法人 日本透析医学会
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