日本透析医学会雑誌
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糖尿病性腎不全症例の透析導入時所見に関する検討
久保 昌志田邉 信明上野 精
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1998 年 31 巻 2 号 p. 145-149

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抄録

糖尿病性腎不全のため透析療法に導入された症例の導入時血液検査, 臨床所見を集計し, 厚生科学研究腎不全医療研究事業による慢性腎不全透析導入基準案 (1991) (以下, 厚生省ガイドライン) に準じて, 非糖尿病性腎不全との比較検討を行った.
対象は, 山梨医科大学泌尿器科において1992年1月より1996年12月までの5年間に慢性腎不全のため透析導入を行った79症例で, 導入時の臨床症状, 緊急度, 心胸比, 血液検査, 厚生省ガイドラインによる評価についてレトロスペクティブな方法により解析した.
対象症例の平均年齢は全体で57.8歳で, 糖尿病群と非糖尿病群との間で年齢に差は認められなかった. 原疾患の内訳は, 糖尿病性腎症44例, 慢性糸球体腎炎27例, その他8例であった. 導入時, 糖尿病群において浮腫, 肺水腫などの体液貯留症状および神経症状の出現頻度と血清クレアチニン8mg/dl以下の症例の比率が有意に高値であった. また, 厚生省ガイドラインによる評価では, 糖尿病群では, すべての症例がその導入基準である60点以上を満たしていた.
今回の検討により, 糖尿病性腎不全症例は, 非糖尿病性腎不全症例と比較して, 検査成績よりも臨床症状が先行する傾向にあるという結果となった. そのため, 糖尿病性腎不全症例の透析導入に際しては, 血液検査成績だけではなく, 臨床症状や活動性などを十分考慮して透析導入を決定することが望ましいと考えられた.

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