日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
SMANCS/Lipiodol動注療法を施行した肝癌合併血液透析患者の1例
井崎 博文滝下 佳寛水田 耕治林 尚彦香川 賢一山本 修三炭谷 晴雄
著者情報
キーワード: 血液透析, 肝癌
ジャーナル フリー

1998 年 31 巻 4 号 p. 295-298

詳細
抄録
症例は71歳男性. 68歳の時腎機能低下を指摘され, 平成8年1月 (71歳時) より嘔気, 食欲不振が出現, 近医で末期腎不全を指摘され透析導入の目的で当院に紹介され入院した. 入院中に施行した腹部超音波で肝S8に肝癌を疑わせる腫瘤を認めたため, 腹部CT, 肝動脈造影を施行し肝癌と診断した. Zinostatin stimalamer (SMANCS) を, 初回は常用量の2/3に相当する4mgをlipiodolに溶解して選択的に肝動脈より注入した. 注入後, 白血球減少, 血小板減少, 肝機能および腎機能の増悪等の副作用は認めなかった. 9か月後, 腫瘍の増大を見たため, 再度SMANCS 6mgを含むSMANCS/Lipiodolとともに, ゼラチンスポンジゲルによる塞栓術を併用した (SMANCS/TAE). 特記すべき副作用もなく, 13か月後の現在良好に経過している. 今回の経験より, 透析患者にも常用量のSMANCSを用いた動注療法の可能であることが示唆された.
著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top