日本透析医学会雑誌
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難治性腹水に対しLe Veen shunt作成術が有効であった血液透析患者の1例
白井 純宏副島 秀久副島 一晃渡邊 紳一郎田島 暁
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1998 年 31 巻 7 号 p. 1093-1097

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抄録

難治性腹水に対しては一般に利尿剤やアルブミン製剤などの薬物療法が選択されるが, 保存的治療に抵抗する難治性腹水に対しては腹水濾過濃縮再静注法が選択される. しかし, 無尿患者の腹水に対してはその効果の十分な検討が行われていない. 53歳の男性透析患者の難治性腹水に対して計10回の腹水穿刺と計7回の腹水濾過濃縮再静注法を施行したが, 腹水の増加傾向みられたため1997年7月23日, レビンシャント作成術を施行した. 術後, 数週間37-38℃台の発熱はみられたものの腹水は著明に減少した. 原因不明の腹水に対する腹腔-大静脈シャントは肝疾患を原因とする腹水のみならず, 透析患者における難治性腹水に対しても有効であると思われた.

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© 社団法人 日本透析医学会
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