日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
透析患者の下肢閉塞性動脈硬化症 (ASO) に対する経皮的血管形成術 (PTA) の成績
横家 正樹操 潤鳥山 高伸川原 弘久
著者情報
キーワード: 透析患者, 糖尿病性腎症
ジャーナル フリー

1999 年 32 巻 5 号 p. 339-343

詳細
抄録

糖尿病性腎症の増加と透析導入年齢の高齢化に伴って透析患者の閉塞性動脈硬化症 (ASO) が急増しており, 主要な透析合併症の一つになっている. ASOを合併する透析患者に対してintervention治療の一手法である経皮的血管形成術 (PTA) を行い, 糖尿病・非糖尿病例の成績を比較検討した.
対象は, 当院に通院透析中でかつ薬物難治性を示すFontaine II度以上の下肢ASO患者25症例 (慢性糸球体腎炎5例・糖尿病性腎症19例・他1例) の腸骨動脈 (iliac artery: IA) 11病変・大腿膝窩動脈 (femoropopliteal artery: FPA) 24病変・FPA以遠の末梢動脈 (aretries below knee level: BK) 11病変の計50病変で, 各々初期成功率および術後3か月以上観察後の慢性期追跡造影による再狭窄率を求めた.
初期成功は43病変 (86.0%) に得られ, 拡張の得られた22例中19例 (86.4%) に自覚症状の改善を認めた. 糖尿病・非糖尿病例間の比較では初期成功率の差はなく (90.0% vs 70.0%), 対象部位間の比較では末梢側に行くほど低下する傾向にあったが (IA, 100.0%; FPA, 84.6%; BK, 76.9%), 有意差はなかった.
再狭窄は26病変 (60.5%) にみられたが, 非糖尿病例 (7病変中3病変, 42.9%) に比し糖尿病例 (36病変中23病変, 63.9%) で高い傾向にあった. 対象部位間では末梢側に行くほど再狭窄率は高くなる傾向にあり(IA, 45.5%; FPA, 54.6%; BK, 90.0%), 糖尿病例では末梢側で有意に高い再狭窄率を示した (IA, 45.5%; FPA, 58.8%; BK, 100.0%; p<0.05).
透析患者のASOに対するPTAは有用な治療手段であることが示唆されたが, 再狭窄の防止, 特に糖尿病患者における膝窩動脈以下の末梢血管の再狭窄防止のためにステント等の技術的考案が必要と思われた.

著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top