日本透析医学会雑誌
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透析量および栄養状態などを表す指標のグラフ化
加藤 謙吉浅野 泰
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1999 年 32 巻 6 号 p. 989-996

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抄録

これまで報告されてきた慢性透析患者の治療の指標であるKt/Vや計算によって得られたエネルギー摂取量などをもとに透析データ評価表を月次ごとに作製してきた. 観察期間は1年6か月で, 症例数46-53人, 平均透析期間55.8±44.1-67.1±43.8か月 (最小-最大値, mean±SD), TACBUN43.5±9.6-48.6±11.5mg/dl, Kt/V 1.22±0.19-1.34±0.27, PCR 0.96±0.21-1.07±0.15g/kg/day, アルブミン値4.0±0.3-4.3±0.4g/dl, エネルギー摂取量1429±408.6-1779.2±469.4 Cal, %クレアチニン産生速度101.8±21.1-113.3±17.6%, 週初め除水率4.4±1.7-5.4±1.8%, 塩分摂取量7.0±2.7-12.7±5.2g/dayであった. Kt/V, PCR, %クレアチニン産生速度については日本透析医学会統計調査委員会の算出結果とも比較を行い有意な相関が認められた (r=0.65-0.99). さらにこれら評価表をもとに個別的に折れ線グラフまたはレーダーグラフを作製した. グラフ化は数値羅列の表形式よりも臨床全体像をとらえやすく, 透析スタッフや患者に対し, 病態や食事管理への理解がより深まる結果となった. すなわち, 透析評価表のグラフ化は透析患者に対するインフォームド・コンセントとしての役割を十分担えるものと考えられる.

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