日本透析医学会雑誌
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エンドトキシン吸着療法 (PMX) におけるTh1, Th2の変化について検討した敗血症性ショックの5例
畦倉 久紀大林 孝彰成田 眞康鶴田 良成成田 幸夫
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2000 年 33 巻 8 号 p. 1159-1163

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抄録

1型ヘルパーT細胞 (Th1) はinterferon-γなどのサイトカインを産生し, 主に細胞性免疫に関与し, 2型ヘルパーT細胞 (Th2) は, interleukin-4などを分泌し, 主に液性免疫に関与するとされている. 最近, アレルギー疾患などでTh1/Th2バランスの検討がなされており, 敗血症でも報告されている. 今回, 我々は敗血症性ショック患者5例においてPMXを施行し, その前後でのTh1, Th2の変化と治療反応性との関連性について検討した. 症例1は57歳男性で糖尿病性腎症であり重症肺炎による敗血症, 症例2は68歳男性で慢性腎炎由来の透析患者で肺炎による敗血症であり, いずれも起炎菌は緑膿菌であった. また, 症例3は51歳男性で糖尿病性腎症由来の透析患者であり術後に敗血症 (感染巣不明) となり, 症例4は76歳男性で腎硬化症由来の透析患者で下肢壊疽感染により敗血症となったが, いずれも起炎菌はメチシリン抵抗性黄色ブドウ状球菌 (MRSA) であった. 症例5は糖尿病で腸腰筋膿瘍により敗血症となったが, 起炎菌は不明だった. この5例にPMXを施行し, 症例1, 2は治療に対する反応が遅延し, 症例3, 4, 5は迅速に反応しショック状態を脱した. PMX前後でのTh1, Th2の変化と治療反応性との関連性の検討では, PMX治療前のTh1/Th2バランスにおけるTh2の優位性は認められず, 遅延反応群は迅速反応群よりTh1前値はやや高く, Th2前値は著高を示しPMX後に減少する傾向を認めた. 以上より全体ではPMX前後でTh1, Th2は一定の変化傾向を認めなかったが, Th1, Th2の治療前値は敗血症性ショック患者におけるPMXの治療反応性を決定する要因になり得ると考えられた.

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