日本透析医学会雑誌
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維持透析患者に化膿性脊椎炎・膿胸を併発し整形外科的手術を必要とした1例
金井 秀夫野口 俊治藤塚 直人新屋 博之戸塚 芳宏義江 健橋本 俊英
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2003 年 36 巻 1 号 p. 61-65

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抄録
血液透析患者ではシャント血管の穿刺およびカテーテルを用いた体外循環が必要であり, ブラッドアクセスに関連した感染症が問題となる. 今回われわれは比較的稀な疾患とされる化膿性脊椎炎を発症し, 経過中傍脊椎膿瘍を合併し右胸膜へ波及, 最終的に整形外科的な手術を必要とした症例を経験した.
症例は39歳男性. 糖尿病性腎症による慢性腎不全のため1995年7月より血液透析を開始した. 2000年9月1日右内シャントの閉塞のため入院した. シャント修理までの間, 右鼠径部よりダブルルーメンカテーテルを留置し透析を開始したところ, 9月20日より39℃を超える発熱が出現, 血液培養にてMRSAが陽性であった. 9月下旬より腰痛が出現したが抗生物質にて改善し退院した. その後, 約1か月後に突然強度の腰痛が出現し, 再入院した. MRI・Gaシンチの所見より, 胸椎11および12の化膿性脊椎炎と診断し, 抗生物質の投与を開始した. 12月8日突然右胸部痛および呼吸困難が出現, 傍脊椎膿瘍の合併および同病巣から右胸膜への炎症の波及が考えられた. 抗生物質による加療を続けたが, 下肢の麻痺の進行, 脊椎骨病変の進行, 膿胸の増悪などより整形外科的手術の適応と考え, 傍脊椎膿瘍のドレナージ, その後, 後方固定術の処置を行った.
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© 社団法人 日本透析医学会
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