日本透析医学会雑誌
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透析導入後, MPO-ANCA陽性のmicroscopic polyangitisによる胸膜炎を発症した糖尿病性腎症の1例
米田 雅美西村 英樹塩見 智子船木 威徳田中 俊久小松 水樹佐中 孜
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2006 年 39 巻 2 号 p. 131-137

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抄録
症例は77歳男性. 平成14年12月糖尿病性腎症による慢性腎不全の診断で紹介受診. 初診時BUN 48mg/dL, Cre 3.3mg/dLであったが徐々に腎機能は低下した. 感冒を契機に急性増悪し, 全身浮腫と両胸水を認め, 平成16年1月血液透析に導入した. 発熱, 肉眼的血尿, CRP高値も認めていたが確定診断に至らず, 抗生剤投与で軽快したため退院とした. その後近医で外来維持透析療法を受けていたが, しばしば発熱, CRP陽性を認め抗生剤投与を受けていた. 同年6月右胸痛と右胸水を認めるようになり精査目的で第2回目の入院となった. 入院後, 各種抗生剤に抵抗性の発熱, CRP高値, 全身倦怠感が持続し, 顕微鏡的多発血管炎 (microscopic polyangitis: MPA) を疑ってMPO-ANCAを測定した結果, 高値 (503 EU) であった. ステロイド大量療法を行った結果, 解熱, CRP低下, 胸水減少と著明に改善した. 確定診断には至らなかったが, 臨床経過よりMPAによる胸膜炎が考えられた.
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