日本透析医学会雑誌
Online ISSN : 1883-082X
Print ISSN : 1340-3451
ISSN-L : 1340-3451
テルモ社製透析用人工血管 (GRASIL®) の臨床使用 -長期成績-
太田 和夫辻 寧重久木田 和丘佐々木 茂酒井 信治渕之上 昌平中川 芳彦山田 和彦神應 裕原 修天野 泉内藤 秀宗田中 一誠沼田 明水口 潤中本 雅彦安藤 高志
著者情報
ジャーナル フリー

2006 年 39 巻 9 号 p. 1395-1401

詳細
抄録
目的: この試験の目的はテルモ社が開発した再シール性の高い材料を用いた新しい透析用人工血管 (以下, GRASIL®) を臨床使用し, 移植後の長期成績を評価することである. 試験デザイン: 慢性腎不全患者71例に対し, GRASIL®を移植した. 累積開存率はKaplan-Meier法を用いて算出し, 移植後36か月以上 (最長54か月) フォローアップした. GRASIL®の開存率と合併症などを検討し, 本人工血管の臨床上の特長について評価を行った. 結果: 患者背景は男性36名, 女性35名, 移植時の年齢31-88歳 (平均年齢64.1±13.1歳, 中央値65歳) で透析歴は0-31年7か月 (中央値3年9か月) であった. 移植後12か月時点での累積一次開存率は46.3%, 二次開存率は80.4%および三次開存率は91.6%であり, 24か月時点での累積一次開存率は26.4%, 二次開存率は63.7%および三次開存率は83.3%, また, 36か月時点では累積一次開存率は18.5%, 二次開存率は50.0%, 三次開存率は71.4%であった. フォローアップ期間中, 閉塞は17例, 死亡は15例であり, バスキュラーアクセス関連の合併症は16例で18件発生した. 初回穿刺の最短は移植日当日で, 平均は9.8日 (中央値6.0日) であった. 結語: GRASIL®は早期穿刺が可能であり, 移植後36か月以上にわたり透析用バスキュラーアクセスとして有用であることが確認された.
著者関連情報
© 社団法人 日本透析医学会
次の記事
feedback
Top