心電図
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第19回頻拍症カンファランス
構造学的にみた心房細動持続に伴うリモデリングとリバースリモデリングの可能性
井川 修新 博次
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2011 年 31 巻 5 号 p. 534-540

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抄録
心房細動(AF)の持続に伴う構造的リモデリングは,左房を中心とする構造的変化として認識される.肉眼的にみたこの構造的変化の主体は,左房のバルーニングであり,左房後下壁で最も顕著に認められる.とりわけ,その変化は左下肺静脈下部領域に著しく,AFの進展に伴い左房右側後下壁へ波及する.一方,構造的変化の改善(リバースリモデリング)が認められる場合もある.非弁膜症性永続性AFを有していた剖検症例における左房後下壁,とりわけ左下肺静脈下部領域の肉眼的構造的変化は,同部位のバルーニングと,光を透過させるほどの壁の菲薄化である(translucent area).その断面の組織像には壁厚の減少とともに,心筋厚の減少,間質の線維化,心筋細胞の萎縮,心筋細胞の断裂(不連続性),心筋層の単層化などが認められる.注目すべきは,その所見のなかに萎縮した心筋細胞機能を代償していると考えられる肥大した心筋細胞を認めることである.この萎縮と肥大の混在(モザイクパターン)の割合は症例ごとに異なり,萎縮・肥大の割合がリバースリモデリングを起こす可能性と相関し,肥大した心筋細胞優位の症例,つまり代償反応が豊かな症例はリバースリモデリングの可能性が大きいことが推測された.
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© 2011 一般社団法人日本不整脈心電学会
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