2011 年 31 巻 5 号 p. 541-548
不整脈発症と自律神経に関する研究の歴史は長い.1920年ごろにはすでに,心臓自律神経の刺激による心房細動(AF)発症が確認されている.1990年代後半にAFが肺静脈起源の電気的興奮(PV firing)をトリガーとして発症することが明らかになり,以後臨床におけるAF治療が大きく発展を遂げた.その治療対象であるPV firingは,以前より自律神経活動との因果関係が実験的に証明されていた.特に心房心外膜側に局在する自律神経節がAF発症に深くかかわるとされ,今後新たな治療戦略のひとつとして注目を集めている.本稿では,内因性自律神経系,特に自律神経節のAF治療における重要性について述べる.