2023 年 56 巻 2 号 p. 57-62
症例は63歳女性.肝硬変や慢性腎不全で当院に通院中であった.貧血と血小板減少を認め,3年前に他院血液内科で精査され,肝硬変に伴う脾機能亢進症と診断された.2年前に血液透析導入となり,貧血に対し赤血球造血刺激因子製剤を投与されたが,効果は不十分であった.頻回の赤血球輸血によっても貧血の是正が困難となったため,当科入院のうえ部分的脾動脈塞栓術(partial splenic embolization:PSE)を施行した.2か月後に脾膿瘍を発症したがドレナージと抗菌薬の投与で軽快し,以後の輸血は不要となった.維持血液透析患者に合併した脾機能亢進症に対しPSEを施行した既報は少なく,その有用性を示唆する症例と考えられ報告する.