抄録
かかりつけ医の心房細動診療における予防,診断,治療,リハビリテーションに至る包括的な流れが,新規経口抗凝固薬(novel oral anticoagulant : NOAC)の登場で大幅に変化することはない.しかし,適応症例に適切に抗凝固療法が行われていない現状を考えたとき,ワルファリンに比べて頭蓋内出血が少なく,かつ使用が簡便であるという特徴をもつNOACは,今後かかりつけ医の使用する頻度が増えると考えられる.この際,患者の腎機能(クレアチニンクリアランス),コストへの意識,服薬アドヒアランスを的確に把握することが求められる.また,モニタリング指標がないため,出血や脱水症状,貧血,飲み忘れなどについても,日常的に注意することがいっそう必要となる.さらに,NOACの登場により,心房細動のコモンディジーズとしての重要性が増すことが予想される.すなわち,早期発見のために65歳以上のすべての外来患者の脈を取り,また発症自体の予防あるいは脳塞栓予防のため,心房細動以外のリスク因子を包括的に管理する姿勢が,かかりつけ医に求められる.今後,超高齢者,認知症,転倒高リスク例などへのNOACの扱いが課題となるが,NOACの役割はいまだ未知数である.こうした例では,患者およびその家族とのコミュニケーションを介して共通基盤を見い出すことが大切となる.
ワルファリン時代に比べ,かかりつけ医の信条である問診や身体診察,患者とのコミュニケーションといった武器にさらに磨きをかけ,各々の患者に適切な抗凝固療法を行うことが,NOAC時代におけるかかりつけ医の使命と考える.