霊長類研究 Supplement
第23回日本霊長類学会大会
セッションID: P-11
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ポスター発表
飼育下チンパンジーと野生チンパンジーの行動目録の比較
*廣澤 麻里落合-大平 知美松沢 哲郎
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抄録
飼育下チンパンジーの行動目録を明らかにするため、行動を記録したDVビデオからビデオクリップを切り出してきた。その数は306クリップにのぼる(2007年4月30日現在)。今回は、これらのビデオクリップの行動内容が、野生で報告されている行動目録とどれほど共通し、異なっているかを調査した。ビデオクリップの録画の対象となったのは、京都大学霊長類研究所のチンパンジー14個体(オトナオス3個体、コドモ3個体を含む)である。2001年9月より岐阜大学の学生によって、屋外放飼場(695 m2)とサンルーム(100m2)に暮らす土日のチンパンジーのようすが、ビデオカメラ(SONY DCR-PC300)で撮影されてきた。今回は、2007年4月までの約6年間に撮影されたDVテープ745本のうちの109本(6540分)を対象にビデオクリップを作成した。比較対象としたのは、野生チンパンジーの行動目録に関する3つの論文(Plooij 1984, Goodall 1989, Nishida et al. 1999)である。3つの論文の行動項目は、それぞれ225、347、515項目だった。作成したビデオクリップから行動リストをつくり、重複する行動を整理した結果、138項目の行動があった。また、それぞれの共通する項目をみたところ、3つの論文に共通するのは50項目で、ビデオクリップはそのうちの29項目で共通していた。一方、「電車ごっこ(tandem walk)」、「池の魚を木の枝で追い回す」、「噴水の穴を指で押さえ、勢いよく水を噴き出させる」などの行動は、ビデオクリップでしかみられなかった。以上より、飼育下の行動目録は、野生で報告されている行動目録と共通するものがある一方、環境条件の有無の制約を超えて異なることが明らかとなった。なお、ビデオクリップは下記のWEB上に掲載している。http://www.pri.kyoto-u.ac.jp/koudou-shinkei/shikou/gifu-poke-web/index.html
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© 2007 日本霊長類学会
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