抄録
心電図QT間隔の短期的揺らぎの指標であるshort-term variability of QT interval(STV-QT)が心室筋再分極過程の時間的不安定性を反映する指標であることは,動物実験で明らかにされている.STV-QTの測定は,非侵襲的かつ容易であることから臨床的にも有用と考えられ,薬剤誘発性QT延長例,先天性QT延長例,心不全例などで計測が行われており,torsade de pointes(TdP)が生じる例ではコントロールに比しSTV-QT値が有意に長いと報告されている.しかし,われわれが調べる限り,多数の健常成人を対象に正常値としてSTV-QT値を測定した報告はいまだ存在せず,性差・年齢差についての検討もなされていない.今回われわれは,20~65歳の健常成人205例を対象にSTV-QT測定を行った.その結果,STV-QT値は平均2.7±1.0msec,正常範囲は0.7~4.7msecであった.