心電図
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第24回頻拍症カンファランス「心臓と自律神経」より
Overview 心臓と自律神経―温故知新―
井上 博
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2016 年 36 巻 4 号 p. 315-327

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抄録

交感神経と副交感神経は心機能や血圧の調節に密接に関与している.交感神経興奮は不応期短縮,伝導性亢進から様々な頻脈性不整脈を発生する.この関連を支持する所見には,運動や精神的緊張による不整脈誘発,心臓性急死や心室細動の日内変動,星状神経節摘除術による難治性心室性不整脈の抑制などがある.副交感神経(迷走神経)の興奮は多くの場合,頻脈性不整脈抑制に働き,心拍変動,圧受容体反射機能などにより迷走神経緊張度が高いと評価された例では生命予後がよい.しかし例外があり,交感神経•迷走神経興奮はいずれも心房細動(AF)発生を促し,Brugada症候群やJ波症候群では迷走神経緊張が心室細動発生に関係する.近年では,肺静脈隔離術に加えてganglionated plexusにアブレーションを行うと,AF再発が抑制されることが明らかになった.さらに,腎交感神経アブレーションが治療抵抗性AFの再発や心室頻拍ストームを抑制することも明らかになってきた.

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© 2016 一般社団法人日本不整脈心電学会
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