心電図
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総説
ヒトiPS細胞モデルを用いたQT延長症候群の診断,治療法の開発
吉永 大介牧山 武馬場 志郎
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2021 年 41 巻 3 号 p. 124-133

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抄録

致死性不整脈疾患の多くはイオンチャネルおよびその関連タンパクをコードする遺伝子の変異により生じる疾患群である.近年のゲノム解析技術の進歩により病的意義が不明な遺伝子変異(variant of unknown significance:VUS)の解釈が問題となっている.ヒトiPS細胞モデルは,疾患モデルとして病態再現可能であり,遺伝子型表現型ミスマッチ(genotype-phenotype mismatch)に関連する問題を解決する上で有用であると期待される.われわれは,致死性不整脈の中でQT延長症候群に注目した.QT延長症候群iPS細胞由来分化心筋細胞がコントロールiPS細胞由来分化心筋細胞に比べてイオンチャネル機能異常を有し,特異的チャネル遮断薬に対して予想どおりの反応性を示すことを明らかにした.この結果から,疾患ヒトiPS細胞由来分化心筋細胞モデルを用いることにより,イオンチャネル機能異常の検出が可能となるだけでなく,VUSのみならず,遺伝子異常を特定できない症例の診断においても役立つ可能性が高いことが明らかとなった.本稿においては,ヒトiPS細胞を用いたQT延長症候群の病態解明と治療開発研究について,最新の知見を交えて解説する.

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