心電図
Online ISSN : 1884-2437
Print ISSN : 0285-1660
ISSN-L : 0285-1660
総説
JROAD-DPCデータベースを用いた心房細動カテーテルアブレーションにおける合併症リスク因子に関する研究
横山 靖浩宮本 康二草野 研吾
著者情報
ジャーナル フリー

2023 年 43 巻 2 号 p. 89-99

詳細
抄録

高齢者の増加に伴い心不全および心房細動の患者数は増加している.年齢は,心房細動のカテーテルアブレーションの適応を決定する大きな関心事や決定要因の1つである.しかし,日本における年齢に応じた心房細動カテーテルアブレーションの安全性に関するデータはほとんどない.本研究では,全国規模のデータベース〔Japanese Registry Of All cardiac and vascular Diseases(JROAD)-DPC〕により,心房細動カテーテルアブレーションに関する安全性を評価した.2012年4月から2018年3月までに,456の病院で心房細動アブレーションを施行した患者135,299名(平均年齢65±10歳,女性38,952名)を調査し,詳細な年齢群;<60,60~65,65~70,70~75,75~80,80~85,≧85歳に分けて検討した.全体の院内合併症発生は3.4%(心タンポナーデ1.2%),院内死亡率は0.04%であった.高齢の患者では,女性の割合が高く,肥満度が低く,高血圧や心不全などの併存疾患が多く,これらの特徴はすべて多変量解析で合併症の予測因子となった.多変量解析による調整オッズ比から,年齢の上昇は独立して総合併症の発生と有意に関連していた(60~65歳;1.19,65~70歳;1.29,70~75歳;1.57,75~80歳;1.63,80~85歳;1.90,≧85歳;2.86,対照:<60歳).以上のことから,JROAD-DPCデータベースにより心房細動カテーテルアブレーションにおける合併症の頻度は,年齢に応じて増加することが示された.

著者関連情報
© 2008, Japan Science and Technology Agency
前の記事 次の記事
feedback
Top