2023 年 43 巻 2 号 p. 100-105
【目的】ペースメーカ手術において術後血腫形成の予測因子として周術期のヘパリン使用が報告されているが,その他の予測因子についての報告は多くない.今回,当院でのペースメーカ手術例を用いて血腫形成の予測因子を検討した.【方法】2018年10月から2021年1月までにペースメーカ手術を施行した103例(血腫形成群13例)の患者を対象とし,血腫形成にかかわる予測因子について後ろ向きに調査した.【結果】単変量解析では術前低体重(ボディマス指数(BMI)18.5未満)である群(オッズ比(OR):4.0,95%信頼区間(CI):1.02-15.7,p=0.046),降圧薬の内服がない群(OR:5.57,95%CI:1.60-19.4,p=0.007),および周術期のヘパリン使用群(OR:4.56,95%CI:1.14-18.2,p=0.032)が血腫形成と有意な相関があった.【結語】降圧薬を内服していないこと,低体重は新たな血腫形成の予測因子となりうるかもしれない.