2025 年 45 巻 4 号 p. 278-289
《背景》副収縮は比較的まれな不整脈で,正確な診断には長時間の記録を必要とし,出現の実態や心電図学的特徴に関しても不明な点が少なくない.《対象と方法》健康診断等で記録された短時間の12誘導心電図の中から,さまざまなタイプの移動連結性期外収縮連続81例(男性50名,女性15名,不明16名,平均年齢54.2±13.6歳)を抽出し,副収縮と診断できるか否か,その頻度,形態,起源,異所性興奮周期などの心電図学的特徴について検討した.《結果》(1)保護ブロック(洞収縮の影響を受けず独自のリズムで期外収縮が出現する状態),進出ブロック(異所性中枢から周辺組織への興奮伝播がブロックされた状態),融合収縮(洞収縮と期外収縮を融合した波形を示す心拍),の有無を基に副収縮と判定されたのは,心房期外収縮26例中19例(73.1%),房室接合部期外収縮20例中19例(95.0%),心室期外収縮35例中31例(88.6%)で,心室期外収縮の中では左室流出路起源のものが多かった.(2)副収縮と判定された例における推定平均異所性興奮周期は,房室接合部副収縮で,心房副収縮,心室副収縮より有意に長かった.(3)心室副収縮の起源別では,左室心尖部起源副収縮で右室流出路起源副収縮より興奮周期が長い傾向があった.(4)進出ブロックは心房副収縮19例中18例,房室接合部副収縮19例中18例,心室副収縮31例中29例で観察されたが,融合収縮が観察されたのは心房副収縮で0例,他の2者でも約半数にとどまった.(5)平均洞周期は心房,房室接合部,心室副収縮間で差がなかった.《考察および結論》短時間記録の12誘導心電図のみを用いての副収縮診断にあたって,保護ブロックの有無を検出することにより,副収縮か否かおよびその異所性興奮周期を推定することが可能であった.また平均異所性興奮周期は,房室接合部副収縮で他の二者より有意に長いこと,心室の中では左室心尖部起源が最も長いことなど,部位による特性があることが示された.