心電図
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急性心筋梗塞症におけるInitial Abnormal Depolarizationの検討
―とくに左室収縮機能との関係―
堀中 繁夫山本 英雄永島 和幸小林 直彦谷口 泰河口 達仁門田 隆太郎待山 昭
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1990 年 10 巻 1 号 p. 21-28

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抄録
急性心筋梗塞症28例と対照群20例について直交X, Y, Z誘導のQRS波を1000samples/secでA/D変換し加算平均後, 瞬時空間ベクトルの大きさを計算して空間マグニチュード心電図のQRS波 (以下空間QRS波と略) とその一次微分波形を描出した.一次微分波形より初期異常脱分極部分 (initial abnormal depolarization) の幅を求め空間QRS波の同領域の瞬時空間ベクトルの積分値 (以下IAD値と略) を算出し, 心筋梗塞群で左室造影から求めた駆出率および15度radialsystemより算出した短縮率の低下を認めた壁運動低下区域の個数との関係を検討した.IAD値は対照群1.67±0.78mV・sec (平均±SD) , 心筋梗塞群6.15±4.36 (p<0.01) であった.IAD値と駆出率にはr=-0.80, p<0.01の有意の負の相関, IAD値と壁運動低下区域個数にはr=0.92, p<0.01の有意の正相関が認められた.IAD値は急性心筋梗塞症の左室収縮機能をよく反映する指標であり, 発症後の病態評価に有用と考えられた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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