1991 年 11 巻 3 号 p. 322-331
胸部単極32誘導体表面加算電位図により, 心内膜異常電位存在部位と心室頻拍の発生部位の推定を試みた.器質的心疾患を有し体表面心室遅延電位 (LP) と持続性心室頻拍の認められた6例を対象に, filtered QRS終末より30ms前までのLPの積分電位を求めLP30area mapを作成し, さらに, 心室頻拍 (VT) と類似の心室期外収縮 (PVC) のQRS isointegral mapを作成した.その結果, LPの空間分布は各疾患ごとに特徴のある分布様式を示し, 陳旧性心筋梗塞例においては梗塞領域内もしくはその辺縁に分布した.PVCのQRS isointegral mapの極小は各症例ともLP分布領域内に認められた.電気生理学的検査施行例ではLP30area mapが心内膜異常電位存在部位を, またPVCのQRS isointegral mapの極小がVTの起源を, それぞれよく反映していた.胸部単極32誘導体表面加算電位図によるLP30area mapとPVCのQRS isointegral mapはVT起源の評価に有用と思われた.