心電図
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マスター二階段負荷心電図試験と運動負荷体表面電位図の比較検討
山成 洋
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1991 年 11 巻 4 号 p. 415-424

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抄録
運動負荷体表面電位図がマスター二階段負荷心電図偽陽性例を鑑別する上で有用か否かを検討した.対象はマスター二階段負荷試験で陽性所見を示した64例である.このうち46例で201T1負荷心筋シンチ (SPECT) 陽性の22例をI群, 陰性の24例をII群とし, さらにI群とII群をSTT変化がV3-V6誘導に出現するa群 (Ia, IIa群) とII, III, aVF誘導に出現するb群 (Ib, IIb群) に分類し, IaとIIa, IbとIIbを鑑別するために判別式を導いた.残りの18例は判別式の妥当性を検討するためtest caseとして用いた.AQRSTの (負荷後-負荷前) として求めたDAQRSTを用いるとIa, IIa群は式Z=-1.75× (K1) -1.24× (H1) -0.31を用いると正診率74%, Ib, IIb群ではZ=-3.28× (I3) +0.01で正診率70%判別可能であった.さらにその判別式をtest caseに適用した場合にもほぼ同様の正診率が得られた.以上より運動負荷体表面電位図はマスター二階段試験の偽陽性例を鑑別する上で有用と考えられた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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