抄録
1) Rhizopus sp. strain FukumotoのGA粗酵素を等電点分画した結果, 5個の活性ピークが認められ, 主要ピークをGA-7.9およびGA-8.3とした。
2) GA-7.9とGA-8.3はゲルろ過により, さらに2活性区分に分離され, 溶出順にそれぞれGA-7.9 I, GA-7.9 II, また, GA-8.3 I, GA-8.3 IIとした。
3) GA-6.7を除く各GAは, pH 4.0のディスク電気泳動で単一バンドを示し, GA-7.9 IとGA-7.9 IIの混合物, GA-8.3 IとGA-8.3 IIの混合物もまた単一バンドを示した。
4) これらのGAの至適温度は55℃であり, 50℃以下で安定であった。至適pHはGA-8.3のIとIIのみ5.1で他は5.5であり, pH 3.5~7.5で安定であった。可溶性澱粉に対するKmは, GA-7.9, GA-8.3ともIがIIよりやや大きな値を示し, 他はさらに大であった。また, 分子量はほぼ同じで約53, 000と推定された。
5) GA-7.9とGA-8.3のIとIIは, アミロース, アミロペクチンおよび可溶性澱粉に対してはIがIIに比べて強い活性を示したが, ポテト生澱粉を基質としたときには, 逆にIIがIより強い活性を示した。