心電図
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心室瘤患者における心室遅延電位について高周波成分心電図, Holter心電図を用いての比較検討
降旗 康敬
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1992 年 12 巻 1 号 p. 73-79

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抄録
心室瘤 (An) 患者における心室遅延電位 (LP) について高周波成分 (HFC) 心電図, Holter心電図を用い検討した.対象はAn形成例50例, 正常例10例の計60例で, これらをI群-Anteroapical An形成群, II群-Inferior An形成群, III群-Apical An形成群, IV群正常群に分け加算平均心電図, HFC心電図, Holter心電図を記録した.LPは総An中21例 (42%) に検出され, 検出率はII群で高くI群で低かった (100%vs37.5%, p<0.005) .これはII群ではQRS波後半のHFC数が多く (4.0±0.9vs10.8±1.0, p<0.001) , I群では前半のHFC数が多い (8.5±2.5vs6.5±2.0, p<0.001) ことと関連し, 前壁のAn例では持続時間の短いLPはQRS波内に埋没され, 下壁のAn例では持続時間の短いLPも検出されやすい可能性が示唆された.Holter心電図ではLPと心室頻拍発生率には関連がなかったが, 前壁のAn例でLPが陽性であり, LPの持続時間が40mseoを超える例では心室頻拍の危険性が高いと思われた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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