抄録
不整脈の診断論理は, 特殊伝導系細胞の自動能による刺激生成, 活動電位発生に伴う興奮伝導と不応期といったいくつかの電気生理学的特性をもとに組み立てられる.そうした論理中, (1) P波の現われ方による洞調律の同定法, (2) PとQRSが同頻度で現われPR時間が一定なら単一の歩調取り機構を考え, (3) PとQRSの出現頻度が異なり, しかも各々の周期が一定の場合は房室解離状態を, (4) 心房と心室の頻度が異なり, 高頻度の方が一定, 低頻度の方が変動するときは, 前者からの伝導ブロックをそれぞれ疑うこと, (5) 基本調律が洞性のときに突然周期が短縮すれば期外収縮が, (6) 基本調律よりも長い間隔で出る心拍では補充収縮が示唆されること, (7) 異所性心拍が連続出現するときは, その頻度により発作性頻拍, 非発作性頻拍, 異所性調律を鑑別すること, (8) 不応期の知識を用いた伝導障害や心室内変行伝導の判定, (9) 歩調取り細胞の復原周期, (10) 不整脈解析におけるP波同定の重要性, などの諸点を実例を用いて解説した.