心電図
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左脚ブロックに合併した陳旧性前壁梗塞の診断―右室ペーシング時の体表面電位図, 12誘導心電図, ベクトル心電図のQRST値による検討―
平井 真理鈴木 朗村上 敦富田 保志足立 昌由市原 義雄山内 一信林 博史鷹津 文麿
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1992 年 12 巻 2 号 p. 168-174

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抄録
冠動脈造影, 左室造影を施行した38症例 (陳旧性前壁梗塞24例, 非梗塞例14例) において右室ペーシングにより左脚ブロックを模し, その際体表面電位図 (MAP) , 12誘導心電図 (EOG) およびベクトル心電図 (VOG) を同時記録し, これら3者におけるQRST値の心筋梗塞診断, および左室機能の推定について比較検討した.MAPおよびEOGにおいては, 正常範囲を下回る誘導のQRST値と正常平均との差の総和 (ΣDMおよびΣDE) を, VCGについてはVentricular gradient (VG) のAzimuth (AZM) , Elevation (ELE) , Magnitude (MAG) を算出した.ΣDMとΣDEおよびAZM, ELEとMAGは陳旧性前壁梗塞において正常興奮伝播と右室ペーシングにより模した左脚ブロックとの間で有意な相関を認めた.陳旧性前壁梗塞の有無の診断におけるMAP, ECGおよびVCGの正診率はそれぞれ82%, 89%および79%であった.右室ペーシング時のΣDM, ΣDEおよびAZMはAsynergy Indexと有意な相関を示したが, ΣDMの相関が最も優れていた.MAP, ECGおよびVCGのQRST値から得られた指標は, 左脚ブロックに合併した前壁心筋梗塞の有無および左室機能の推定に有用な情報を提供する可能性が示唆された.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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