抄録
虚血性心疾患151例を対象として, 負荷201TI心筋シンチグラフ (SPECT) , ECG, VOGの心筋虚血領域の判定の差異について検討した.虚血と判定したのは, SPECTで142件, ECGで140件であった.両法の判定が一致したのは117件で, 両法とも虚血と判定したうちの84%であり, 虚血についての感度は両法ほぼ同程度であった.しかし, 負荷ECGでST低下のみられた誘導部位はSPECTによる心筋虚血部位とは対応せず, ECGでは部位診断は不可能であった.左室造影をgoldstandardとした心筋梗塞数は73例で, SPECTの梗塞診断率はECGに比較して優れていた (P<0.001) が, VCGとは有意の差はなかった.梗塞部位の判定でもSPECTはECGより下壁, 後壁の診断において優れており, 診断感度では有意の差 (P<0.05) を認めた.一方, VCGとSPECTの診断感度はほぼ同様であった.診断特異度, 正診率は3法いずれも良好な成績であり, 特にECGの診断特異度はいずれも100%の成績であった.