抄録
本研究は心筋虚血超急性期の自律神経反射の一端を明らかにする目的で, ウシガエル心臓内迷走神経細胞におけるH+の効果を検討した.吸引電極法にて単離迷走神経細胞体の膜電位固定と細胞内灌流を行った.外液のpHをステップ状に下げるとNa濃度依存性に内き電流が活性化され, これはH+誘起性Na電流と考えられた.同様の電流は脊髄知覚神経細胞体にも観察された.pHの低下により一般的に知られるような膜興奮性が低下することなく一過性脱分極が生じることは, pHの低下自体が情報として伝達される可能性を示唆する.これは心筋虚血の際にみられる局所のpHの急激な低下に対応する迅速な迷走神経応答と考えられ, これにより陰性変時変力作用を介して虚血時に心筋保護がもたらされる可能性もある.