抄録
心疾患を疑わせる自覚症状がなく循環器系薬剤を服用していない35~59歳の男性2, 046名, 女性310名についてHR-STループの検討を行った.座位自転車エルゴメータを用いて, 男性は50W, 女1生は25Wより開始する多段階運動負荷テストを行い, 血圧とCM5誘導心電図を観察した.15秒ごとの加算心拍波形によりJ点より60msecの位置でST偏位を計測し, 15秒間の平均心拍を心拍数とした.水平または下向型で0.1mV以上のST低下を陽性とする従来の診断基準では, 男性の3.0%, 女性の12.6%で陽性であった.これに対し, HR-STループが時計回転を示したもの (ループ (+) ) の頻度は男性の9.9%, 女性の8.6%であった.ST (-) /ループ (+) 群には血圧の上昇や, 下肢の疲労のために目標心拍数まで運動を継続できなかった者の頻度が高かった.HR-STループの異常は負荷終了後の酸素需給の異常を反映している可能性が示唆された.