心電図
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陳旧性心筋梗塞症例の予後に対する加算平均心電図の意義
宍戸 稔聡大黒 哲野々木 宏相原 直彦大江 透土師 一夫下村 克朗
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1994 年 14 巻 1 号 p. 42-48

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抄録
陳旧性心筋梗塞症 (MI) 165例を対象に, 体表面加算平均心電図上の心室遅延電位 (LP) と長期予後について検討した.LPは対象患者の41例 (25%) に検出された.平均4.4年の観察期間中, 心室頻拍および心室細動はLP陰性群で6例 (5%) , LP陽性群で20例 (49%) にみられた.Cathetera blationなどの侵襲的治療はLP陰性群で1例 (1%) , LP陽性群で11例 (27%) に施行された.突然死および不整脈死はLP陰性群で2例 (2%) , LP陽1生群で9例 (22%) に発生した.生存曲線を用いた検討では, 不整脈事故発生率はMI発症後1年で, LP陰性群は4%であるのに対し, LP陽性群では24%と高率であった (p<0.01) .心事故発生率はMI発症後1年で, LP陰性群2%であるのに対し, LP陽性群では15%と高率であった (p<0.05) .突然死および不整脈死はMI発症後5年で, LP陰性群の1%に対してLP陽性群で8%と高い傾向にあった (P=0.08) .以上より, MI症例におけるLPは不整脈死を含む不整脈事故の予知に有用であると考えられた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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