心電図
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急性心筋梗塞再疎通療法後のホルター心電図上のST偏位推移を用いた梗塞責任冠動脈開存の推測
村松 俊哉塚原 玲子秋元 奈保子方 眞美伊藤 茂樹矢部 喜正
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1997 年 17 巻 1 号 p. 29-36

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抄録

〈目的〉急性心筋梗塞に対する再灌流療法後の成否をホルター心電図のST変化の推移により評価した.〈方法〉発症12時間以内に血栓溶解療法を施行し, 梗塞責任冠動脈がTlMl2以上を血流改善を得た48例を再疎通成功群とした.血栓溶解療法施行直後よりホルター心電図を用いて24時間におけるST変化の推移を観察した.〈結果〉再疎通成功群の22.9%にホルター心電図上のST変化が認められた.1週間後のホルター心電図上のST変化出現率は再疎通成功群では直後22.9%から1週間後3%と減少した.ST変化のタイプをST変化無し, resolution type, transient tyaeの3群に分けて退院時左心機能を比較検討すると, ST変化無しの群では左室駆出率57.4±13.2%, resolution type ST変化群は72.4±8.8%を示し, transient type ST変化群は66.1±12.4%を示した.再閉塞はresolution type ST変化群は認めず, transient type ST変化群では25%に, reelevation type ST変化群では50%に認めた.〈結語〉血栓溶解療法後再疎通成否, 梗塞責任冠動脈の開存状況, 左心機能保持効果の推測にホルター心電図を用いたST変化推移の検討は有用であった.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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