1999 年 19 巻 2 号 p. 137-143
ATP感受性K+チャネル開口薬, pinacidilが急性虚血心筋の細胞外K+濃度 (K+e) の変化, 活動電位持続時間 (APD) の変化に及ぼす作用, および心室細動 (Vf) の発生率に及ぼす影響について検討した.in vivoブタ開胸心およびin vitroウサギTyrode液灌流心室中隔を用いpinacidilが6~8分の急性虚血心筋のK+e, APDに及ぼす作用を検討した.さらに, ブタでは, 60分間の冠閉塞時におけるVf発生率を対照群とpinacidil投与群で比較検討した.ainacidil 25μmol/Lは予想に反してウサギおよびブタのK+eの増力口を有意に抑制した.pinacidil 10および25μmol/Lは急性虚血心筋のAPD短縮を有意に促進した.急性虚血心筋のK+eの増力口は, pinacidil投与前後ともに心筋活動電位のプラトー相の総和に比例していた.対照群では60分間の冠閉塞中に60% (3/5) にVfが発生した.一方, pinacidil投与群では100% (7/7) でVfが発生した.