心電図
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心筋虚血によるKATPチャネル開口と不整脈
宮崎 利久麻薙 美香伊藤 清治高木 俊介古川 佳子三好 俊一郎森谷 和徳三田村 秀雄小川 聡
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1999 年 19 巻 2 号 p. 144-152

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抄録

心筋虚血によるKATPチャネル開口が不整脈に及ぼす影響を検証する目的で, 左冠動脈前下行枝の5分間閉塞を反復する麻酔開胸犬モデルにおいてKATPチャネル作動薬の効果を検討した.KATPチャネル遮断薬の前投与は虚血心筋のMAP短縮を有意に抑制したが虚血時ならびに再灌流時のVT/VFの発生率を増力口させ, 逆に開口薬はMAP短縮を促進しVT/VFの発生率を低下させた.MAP持続時間の心拍毎の変動 (alternans) が開口薬により軽減され, 遮断薬により増強する場合を認めた.また, MAPの短縮に一致したERPの短縮は認めず, ERPへの開口薬の影響も軽微であった.以上の結果から, KATPチャネル開口は虚血性ならびに再灌流不整脈に対して催不整脈的ではなく抑制的に作用することが示唆された.β・α受容体遮断薬, 伸展活性化チャネル遮断薬もVT/VFの発生率を低下させたが, KATPチャネル開口薬とβ遮断薬はMAP短縮を抑制せずに抗不整脈作用を示した点で, 心筋保護との両立の観点から理想的な薬物治療と思われた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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