先天性QT延長症候群 (LQTS) の14例とE-4031で作成したLQT2のモデル犬 (3頭) で, ニコランジルの抗不整脈効果を検討した.
臨床例の検討でニコランジル (15~30mg/日) はQT (QTc) 時間を短縮させ, QT-dispersionも縮小させたが, 右室の有効不応期はむしろ延長した.Torsade de Pointer (TdP) 発症時にニコランジル静注を行った2例中1例で, TdPの抑制と単相性活動電位上 (MAP) の八ンプの消失が認められた.ニコランジル静注は特に先行RR間隔が延長した心拍のQT (QTc) 時間とMAP90を短縮させた.実験モデルでは局所の再分極をactivation-recovery interval (ARI) で評価した.ニコランジル静注前は心筋中層のM-oell領域のARlがより延長しており, 貫壁性のAnl-disaersionが認められた.ニコランジルはM-cell領域のARIをより短縮させ, ARI-dispersionを縮小し, 2頭でTdPの発症を抑制した.