抄録
症例は動悸及び失神発作を主訴とした56歳の女性である。Holter心電図では発作性心房粗細動とその停止に伴う洞停止が記録された。心房早期刺激法にて房室伝導のtype5gap現象が観察された。基本刺激周期850msecにて早期心房刺激 (高位右房) の連結期S1S2を除々に短縮したところS1S2360~310msecの範囲で房室伝導が途絶したが, S1S2309msec以下で房室伝導が再開した。この房室伝導の再開はS1S2309msec以下ではS2刺激から下位心房興奮 (A2) までの間隔, 即ち右房上部の刺激部位から右房下部までの伝導時間が著明に延長し, A2の興奮が不応期を脱した房室結節以下に伝導し得たことによると考えられた。このgap現象と本症例の頻脈性不整脈との関連が示唆された。又, 発作性心房粗細動の患者の心房内伝導障害の評価に心房早期刺激法が有用である可能性が示された。