抄録
長時間モニター心電図を用い9例のSAブロックを検討したところ, MobitzII型4例, Wenchebach型1例で, 他の4例は洞頻度に依存するSAブロックと考えられた。すなわち後者4例はいつれも著明な洞徐脈性不整脈を示したが, 症例 (1) ではP-P間隔1.22秒, (2) ではP-P間隔1.0秒, (3) では0.82秒, (4) では0.80秒以下でのみ各々2: 1ないし3: 1のSAブロックをきたした。つまりP-P間隔があるcritical level以下になった時にのみSAブロックを生じ, 洞頻度に依存する型のSAブロックであった。
これらの症例は, 本来MobitzII型に属すると考えられるが, SA junctionで云わゆるphase3ブロックをきたしていることが示唆され, また日常臨床上, 洞徐脈性不整脈, sick sinus syndromeの診断に際し, 注意すべきことと考えられる。