抄録
川崎医科大学循環器内科に入院し, 冠動脈造影で冠狭窄部位が特定された患者を対象に, マスター負荷試験の成績を解析したところ, 以下のように虚血性U波の有用性が見い出された.1.従来のST・T異常例に虚血性U波例を加算すれば, 心筋虚血の検出率は心筋シンチや負荷エコー所見に勝るとも劣らないものと思われた.2, 心電図検査では弱点とされていた後壁虚血も, 右冠動脈疾患か左回旋枝疾患かの鑑別も含めてT波とU波の組合せ所見で検出可能である.3.U波異常は, トレッドミル法によらなくても, より簡便なマスター2階段法で検出可能である.