2003 年 23 巻 2 号 p. 200-206
【目的】発現時間帯別の孤立性発作性/持続性心房細動 (Paf) における心房性ナトリウム利尿ペプチド (ANP) 変動と多剤抗不整脈薬療法の慢性化阻止効果を比較する.【対象・方法】Paf103例 (男性80例, 女性23例, 平均年齢67±11歳) を, 発現時間帯から日中型 (午前7時~午後5時, N=16) , 夜間型 (午後5時~午前7時, N=25) , 混合型 (両時間帯に出現, N=62) に分け, 慢性化阻止効果を長期に比較した.【結果】 (1) 頻拍時/洞調律時ANP比は日中型5.1±2.5, 夜間型4.5±3.6, 混合型2.8±1.9であり, 混合型に比し日中型ならびに夜間型で有意に高値であった (P<0.05) . (2) 3カ月目, 6カ月目, 12カ月目, 24カ月目, 36カ月目における慢性化阻止率は, 日中型100%, 94%, 94%, 88%, 88%, 夜間型100%, 100%, 96%, 96%, 92%, 混合型96%, 87%, 71%, 74%, 68%であり, 混合型に比し夜間型で有意に高率で (p<0.05) , 日中型で高率の傾向であった (p=0.096) .【結語】ANP分泌能が保たれている日中型ならびに夜間型Pafは心房筋障害が少なく, 心筋細胞膜チャネルへの薬理作用がより温存されている可能性がある.