2003 年 23 巻 4 号 p. 323-331
心房高頻度刺激による電気的リモデリングはCa過負荷によって生じるとされる.心房のCaチャネルにはL型とT型の2種類があるが, リモデリングによってL型CaチャネルはdownregulationするがT型Caチャネルはdownregulationしない.
そこでT型Caチャネル遮断薬エホニジピンが電気的リモデリングの進行を抑制するかを, イヌ心房高頻度刺激モデルを用いて検討した.
対象は右心耳に刺激および記録用電極を縫着したビーグル犬18頭.9頭においてエホニジピンを経口投与 (5mg/kg/day) し, 2週後より毎分400回の刺激を開始した.刺激開始直前, および2, 7, 14日目に心房有効不応期 (ERP) を測定し, 対照犬9頭のERPと比較した.
エホニジピンは心房高頻度刺激2日目以降進行するERPの短縮を有意に抑制した.心房頻脈性不整脈に対するT型Caチャネル遮断薬の有用性が期待できる.