心電図
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ヒトマーシャル靭帯周囲の組織学的特徴
牧野 睦月井上 紳松山 高明小川 玄洋酒井 哲郎小林 洋一片桐 敬太田 秀一
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2005 年 25 巻 6 号 p. 517-526

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抄録

背景: マーシャル靭帯は左総主静脈の遺残物であるが, 左房壁では斜静脈として冠静脈洞に合流し, その周囲の筋束 (マーシャル筋束) は一部の心房細動への関与が指摘されている.方法: 剖検心28例 (発作性および慢性心房細動各3例, 左上大静脈遺残2例を含む) .冠静脈洞開口部から左心耳まで左房壁を切り出し房室弁輪に垂直に標本を作製, マーシャル靭帯の組織性状について検討した.結果: 左上大静脈遺残2例を除く26例中25例でマーシャル筋束を伴う斜静脈を認めた.マーシャル筋束は冠静脈洞境界部では全周性にみられた.左房筋との接合は冠静脈洞境界部と末梢端に多く, 特に発作性心房細動3例はともに冠静脈洞境界部の接合が発達していた, 左上大静脈遺残2例は全域で筋束が発達し左房筋と密に接合していた.神経組織は不整脈の有無にかかわらず末梢側で増加していた.結論: マーシャル筋束の分布ならびに左房筋との接合は, 不整脈例ではいずれも発達していた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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