2005 年 25 巻 6 号 p. 535-540
症例は61歳, 女性.昭和61年に洞不全症候群 (SSS) の診断でペースメーカー植込み術を施行.5年前から動悸が出現し, 平成15年, 心臓電気生理学的検査, カテーテル・アブレーション目的で当科に入院.Electroanatomical mapping (CARTO) のactivation mapで, 三尖弁一下大静脈間と右心耳の外側壁を最早期とする2種類のfocalな心房頻拍 (AT) が誘発され, ともに再早期での通電で停止, 誘発不能となった.CARTOのvoltage mapでは中隔以外の右房壁は広範囲に低電位を示しており, 瘢痕領域も右房側壁高位から下大静脈まで存在していた, さらにATの起源は瘢痕領域と低電位領域の境界に存在し, 組織変性とATの発生の関与が示唆された, 本症例はSSSでの心房内変性の一場面をみている可能性があり, またSSS症例のAT発生の機序を考えるうえで貴重な症例であると考えられた.